量子計算理論(森前 著) の演習問題を解く part1
こんにちは。Kumaです。
最近、量子コンピュータについて勉強しています。
今回は有名な以下の本の演習問題について、解答が載っていないので一部書いてみたいとおもいます。
量子計算理論 量子コンピュータの原理 | 森北出版株式会社
二章はチューリングマシンから始まりますが、あまり詳しくないのでpp.15- (古典的確率状態)から書いていきます。
pp.15.1 Xゲートの確認
としたときに、 および を示せ。
- 解答
行列演算で示す。
および
なので
と示される。同様に
pp.16.1 トフォリゲートの確認
トフォリゲートを「三量子ビットに作用する演算であって、第一および第二量子ビットが1のときに限り第三量子ビットを反転させるもの」とする。即ち
ただしは恒等演算子であって である。
また加算記号はmod 2 の加算である。
このとき、任意のに対して を示せ。
- 解答
確認しながらやっていく。まずは
”は恒等演算子であって である。”
を理解しよう。
であれば納得できそうである。これを示そう。
ここで、 を思い出そう。(直交性)
すると
となり示された。
同様にして も示せるので、がたしかに恒等写像になっていることがわかった。
*1
次にトフォリゲートを理解しよう。
"
というゲートが「三量子ビットに作用する演算であって、第一も第二量子ビットも1のときに限り第三量子ビットを反転させるもの」といえることを確認する。"
具体的にみて納得しよう。例えば, などを確認したい。*2
初めに を確認する。
ここで、出てきた という演算子がちょっと難しいので解説する。
まず、テンソル積 の左右で独立と思って良い。つまりこの場合はテンソル積の左と右 でわけて考える。
テンソル積の左は第一量子ビットと第二量子ビットで作られる空間に対して作用する二量子ビット演算子である。
テンソル積の右は、第三量子ビットだけで作られる空間 に対して作用する一量子ビット演算子である。
つまり は、 *3かつ より
となる。
*4
よって
全く同様にして他の入力に対する演算も確かめられる。
例えば、
確かに入力の第一量子ビットも第二量子ビットも1,つまり のときだけ第三量子ビットが反転しそうである。
これを納得できれば*5、題意は簡単に示せる。
まずのとき、ab = 1 であり、 aかbのいずれかが0のときは ab = 0 である]
そしてあるbit に対して1とmod 2加算()を行うと、bitは反転する()。0であればbitは変化しない。
そのため、明らかに
"任意のに対して " を満たす事(トフォリゲートの別表現)がわかる。
今回はここまで。