第15回 日曜数学会 のレポート
こんにちは。Kumaです。
第15回の日曜数学会議に参加してきました!
ので、レポートを書きます。
私、かなりいろいろな分野をかじっているので、知識総動員で全部レビューしていきたいと思います。
この努力だけ誰か褒めて。
ちなみにニコ生のタイムシフトが残っています。
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第15回日曜数学会 - 2019/06/29 14:00開始 - ニコニコ生放送
- キグロ「スマブラの物理」
- ちばまさみ「春のパン祭り2019」
- tsujimotter「ラマヌジャンやっぱりやばいじゃん」
- Kuma「光の偏波とリー代数」
- まこぴ~「p次以下等式群」
- 吉田雄紀「スーパーマリオメーカーはチューリング完全」
- おおとや「論文投稿したった」
- 三好潤一「折紙ビリヤードの極限軌道」
- 岩淵夕希「輪廻数」
- 佐々木マン「驚くべきグリッド平面の世界:まとめ」
- penpenpen「"非可換な"統計学」
- めるのん「コンピュータ方程式を作ろう」
- まとめ
キグロ「スマブラの物理」
超有名ゲーム 大乱闘スマッシュブラザーズ の世界の物理法則を推定するという試み。
考えたことなかったですね~
スマブラの世界では軌道が放物線ではなく、どうも空気抵抗が実装されているらしい。
その空気抵抗係数を、いくつかの仮定のもとで計算していくと・・・?
「自分の解きたい問題を解くためにサイエンスを使う」というのは私自身もよくやるので、
共感するところが多かったです。終了後に実際に私も解いてみました。
意外と線形微分方程式解く程度は錆びついてなかったですね。良かった。
スマブラ物理研究部、あってもいいかも。
ちばまさみ「春のパン祭り2019」
春のパン祭りガチ勢による攻略速報。シールの枚数をどの形で集めると無駄がないのか、
コストパフォーマンスや裏技まで戦略的に分析されています。
これも「自分の解きたい問題を解くためにサイエンスを使う」 ですね!
雑談で、これは最適化問題なのでアニーリングでも解けますね なんて話をしました。
ヤマザキ春のパンまつり問題は量子加速される・・・?
tsujimotter「ラマヌジャンやっぱりやばいじゃん」
ラマヌジャンとかいうインドの英雄はやっぱりやばかった。
タクシー数を無数に知ってしまうことができるという、恐るべき・・・
そしてスライドの背景になってしまったK2凸.
K3のほうが数字的に強いから仕方ないね。
BSD予想(確かゼータ関数のオイラー積表示の一般化と楕円曲線の特徴量の話)というワードが出てきて、
そういえば未解決問題の本で聞いたなぁと。
楕円曲線は、方程式みるとなかなか簡単そう(次数が低いという意味で)で難しい・・・のですが
演算が考えられたり豊富な構造を持っていますね。体系的に勉強したい対象の1つ。
通信分野では準同型暗号で耳にします。
まこぴ~「p次以下等式群」
「鑑賞しましょう」
ある数のペアに対しては、1乗和, 2乗和, 3乗和...が全て等しいという不思議な関係が成立する。
いくつかの定理について、私は発表中にこそこそ証明を議論したりしてました。
吉田雄紀「スーパーマリオメーカーはチューリング完全」
スーパーマリオメーカーを 計算機 としてみなすというとんでもない研究活動。
主にニコニコで始まった文化です。(いわゆるニコニコ学会)
最近はアナログコンピューターが注目されていますが、これは デジタル上に実装された物理法則を用いたアナログコンピュータ といえますね。
意味わかりません。
論理演算できれば、そこから加算器や乗算器がどんどん作れるわけです。
よくみると、除算器は乗算器の何倍も複雑な回路(といってもマリオのステージね)になっています。
これは非常に本質的で、実際にFPGAに除算器を入れようとするととんでもないことになります。
直感的には 割り算というのは上の桁から逐次的に商が決定されていくので、商が確定するまでいっぱい待たなければいけない
ということに相当します。まぁ、FPGA屋に聞いただけの知識なんですけどね。
「使い回し」や「カメラも並列で動く」などの新技術で時代が変わっていったそうです。
技術ですねー。
これ、スマブラ計算機も出来るわけですね。
調べてみるとスマブラで時計を実装している人がいました。これは計算というか、カウンタですね。
おおとや「論文投稿したった」
グラフ理論によって、
P≠NP が否定的に証明できちゃったかも らしい。
未解決問題なので、解くと1億円貰えますから、正しいと凄いことになりますね。
論文はarxivでレビュー中?だそうです。乞うご期待?
三好潤一「折紙ビリヤードの極限軌道」
折り紙を二等分線で折り続けていくと、極限として周回軌道が得られるという発表。
カオスでいうところのリミットサイクルですかね。
初期値依存性も強いようです。みなさん、折り紙を無限回折りましょう。
佐々木マン「驚くべきグリッド平面の世界:まとめ」
グリッド(離散格子点)の幾何学の話。毎回スライドを紙で作るという拘りがすごい。
ぶっちーさんがQ&Aで 「マンハッタン距離を距離だと思ったときの幾何学ぽいですね」
とおっしゃっていましたが、私もそうだと思います。
量子跳躍の話、聞きたかったですね~。
完全有罪
penpenpen「"非可換な"統計学」
ランダム行列の固有値分布に関するお話。
行列だから”非可換性”が出てくるわけです。
個人的には、最近お仕事(半分趣味)で調べていることと非常に近かったので
勉強になりました。
乱数を要素に持つ行列を考えたときに、その固有値(これも確率変数になる)の分布はどうなっているだろう?と考えると
実は行列のサイズを無限大に飛ばすとある分布に収束するのです。
これは漸近分布とか呼ばれています。
通信では、通信路で転送可能な情報量の上限(通信路容量)が通信路の雑音度合いと、通信路の行列表示の固有値で決まります。
つまり通信路の行列表示の固有値を知ることが極めて重要です。
通信路は殆どの場合は外乱によって絶えず変動しているので、確率モデルで記述しますので、上記の話とリンクします。
特にユーザー数が多い場合は行列のサイズが増えることになるので、漸近分布になっていきます。
こうなると、通信路の瞬時的な行列を知らなくても統計的な考察だけで平均容量が決定でき、かえって設計もしやすくなります。
このアイデアは Massive MIMO という技術の基礎をなしており、2020年にサービスイン予定の 5Gモバイル通信 に採用されています。
めるのん「コンピュータ方程式を作ろう」
ディオファントス方程式を計算資源とみて、その間の演算(方程式と方程式を演算して方程式を得る!)をうまく定義することで
”計算”ができるという発表。
こういうのを聞くと、 コンピューターってなんだろう? 計算ってなんだろう? って考えますよね。
計算できる閉じた構造が定義できれば、なんでもコンピュータになりうる。
まとめ
今回は数学的な話題と、そのビジュアライズや応用が1:1ぐらいだったので
非常に聞きやすかったと思います。
休憩時間も熱い議論が交わされていました。
(私は漸近分布について教えてもらっていました)
大成功の回だったと思います。
みなさんも、一度は日曜数学会に参加してみてください。
なお8月3日には 大阪でも 日曜数学会を開催しますのでチェックしてみてください。
kansai-sunday-math.connpass.com
ではでは。